地籍調査事業は、土地の戸籍簿作りです。

都市再生調査事業協同組合

用語解説

地籍調査とは?

国土調査

国土の実態を科学的、かつ総合的に調査することにより、国土をより高度に、かつ合理的に利用するための基礎資料を整備することを目的として、国土調査法に基づいて実施されている調査です。

国の機関が行う「基本調査」とは、「土地分類調査、水調査及び地籍調査の基礎」とするために行う土地および水面の測量・調査などをいいます。

都道府県、市町村または土地改良区等が行うものは「土地分類調査、水調査または地籍調査」で国土交通大臣等による指定を受けるなどしたものが該当します。

現在は、昭和37年に制定された国土調査促進特別措置法(昭和37年5月19日、法律143号として公布、同年同日付で施行)に基づき、第1次〜第5次国土調査事業十箇年計画が策定され、国土調査の緊急かつ計画的な実施の促進が図られてきています。

地籍調査

地籍調査とは国土調査法に基づき実施される各種の調査のうち、地籍の明確化を図るために実施されるものをいいます。

この調査は、土地に関する戸籍調査という性格を有しており、調査地域内の各筆の土地についてその所有者、地番及び地目並びに境界(筆界)などの調査・測量を実施して各筆の土地の面積を求め、結果を地図及び簿冊として作成します(国土調査法第2条5項)。地籍調査は登記簿と現地との相違を修正するという「修正主義」を原則としています。

●地籍調査の進捗率は全国平均で50%程度です。地方では一筆地調査を経て、全域の地図が作成済の自治体もありますが、都市部(人口集中地区)における進捗は20%程度で、都市部では次に述べる「官民境界等先行調査」により街区を先行して調査する方法が一般的です。(数値は国土交通省地籍調査WEBサイトより)

街区境界調査

都市部で土地の境界を明らかにするための調査です。街区とは、道路や水路などの長狭物に囲まれた土地の区画のことで、街区境界とは、その長狭物と接する部分の境界のことです。街区境界調査では、街区を構成する土地のうち、長狭物と接する土地について、その所有者や地番を調査し、その土地と長狭物とが接する部分の境界に関する測量を行います。このようにして、官有地と民有地との境界(官民境界)や民有地同士の境界(民民境界)を確認していきます。

街区境界調査は、令和2年に国土調査法及び関係法令が改正されて位置づけられた新しい調査です。都市部では、土地が細分化されており権利関係も複雑であるなどの事情により、通常の地籍調査(全ての土地について所有者や地番、地目、境界、地積などを調査するもの)の進捗が遅れているところが多くあります。一方で、都市部では、道路や水路などのライフラインの早期復旧や再開発やまちづくりなどにおいて、街区境界だけでも明らかになっていれば役立つことが見込まれます。そこで、通常の地籍調査に先行して実施できるようにしたのが街区境界調査です。

街区境界調査の成果は、通常の地籍調査の成果と同様に都道府県知事等による認証を申請することができます。街区境界調査成果が認証された場合、その成果の写しは登記所や市町村等に送付され、登記や閲覧などに利用されます。また、インターネットなどを通じて公表されることもあります。

官民境界等先行調査

官民境界等先行調査とは地籍調査のうち、街区単位で行政が管理する公共物(道路・水路等)の境界を明確にするための調査のことです。

都市部は筆ごとの地籍を調査する一筆地調査に非常に長い期間を要することから、行政では効率的に調査を進めるために、先ずは官民境界を先行して正確な測量調査を行うことが一般的です。その成果は、後続の一筆地測量を円滑に実施するための基礎資料となるとともに、道路管理などに活用されています。

●当組合が受託している地籍調査の大半がこの調査に該当します。

一筆地調査

一筆地調査とは前述の官民境界等先行調査が官・民間の境界の明確化を行うことに対し、一筆地調査は官民・民民を含めた対象地区全域の境界を明確にするための調査のことです。

都市部は官民境界等先行調査を連続的に行い、街区を明確にした後、一筆地調査を行う方法が一般的ですが、地方では土地の所有関係が複雑ではないため、官民境界先行調査は行わず、本来の地籍調査として、一筆地調査のみを行い成果とする方法が一般的です。

地籍調査においてよく聞く専門用語

公図(地図)

一般に「公図」と呼ばれているものは、昭和35年の不動産登記法の改正に伴い、廃止された旧土地台帳法の規定により登記所(法務局)に備えられていた土地台帳附属地図のことをいいます。現在、登記所(法務局)で保管している「公図」と称されているものの大半は、明治初期に地券(明治時代に政府が発行した土地の所有権を示すための証券)交付にあたって作製された地引絵図、地租改正に際して作製された字限(あざきり)地図及びこれを基本に作製された更正地図ですが、その保管が登記所(法務局)に移された後においては、土地の移動に伴う修正がなされ現在まで使用されています。

公図は、不動産登記法上の法的根拠を有する地図ではなく、不動産の位置及び形状を確認するための参考図面として使用され、一般の取引はもちろん、訴訟上の証拠資料としても広く利用されていますが、その作製方法及びその後の整備状況ともに地図としての精度は不完全なものです。

不動産登記法第14条4項では、「登記所には、第14条1項の規定により地図が備え付けられるまでの間、これに代えて、地図に準ずる図面を備え付けることができる」とされています。

土地の単位を筆といいます。登記記録において1個の土地とされたものをいい、一筆の土地ごとに1記録を備えます。一筆の土地を分割することを分筆、合体することを合筆といいます。

筆界

一筆の土地の境界のことです。法的には、個々の土地を区画する公法上の区分とされている線をいいます。

土地は見た目には連続していますが、物権の目的として登記するために、人為的に区分して独立させる必要から、不動産登記法上、すべての土地は必ず一区画ごとに地番が付されています(不動産登記法第35条1項)。この地番と地番の境が筆界です。

境界

土地の境界には二つの意味があり、一つは土地の所有権の及ぶ範囲を示す「私的境界」と、もう一つは公図(地図)上に示された地番毎の土地の区画線を示す「公的境界」です。

不動産登記法第14条2項に「地図は、一筆又は二筆以上の土地ごとに作成し、各土地の区画を明確にし、地番を表示するものとする」と規定されており、「筆界」は、一般的には公的に定められた地番毎の公的境界をいいます。

一方、私的境界は、隣接者同士の協議により変更できますが、公的境界は、公の制度として定められた線であるため移動させることはできません。

土地

中世において土地は、社会・政治組織の基礎をなしていたのでその権利関係につき多くの抱束がありましたが、近代に入って公法的な負担が整理され私法上の所有権の対象として確立されました。

道路

通常、一般公衆の通行の用に供される物的施設という意味で用いられています。

このような社会観念上の道路を個々にみるとその性質は種々であり大きく分けると、公物たる道路(公道)と私物たる道路(私道)に分かれ、公物たる道路とは、特に公共性が強く公物として特別の規制が加えられている道路を意味します。その代表的なものは道路法上の道路であり、高速自動車国道、一般国道、都道府県道及び区市町村道の4種類があります(道路法第3条)。

私道たる道路とは、法律上は私物であるものの土地所有者等がその所有権等に基づいて一般公衆の通行の用に供している道路のことをいいます。

公衆用道路

一般の交通の用に供する道路のことで、道路法による道路に限らず一般公衆の交通の用に供されるものは、私設の道路であっても公衆用道路とされます。

2項道路

建築基準法第42条1項には「道路」が定義されています。このうち同条2項の規定が適用される道路を一般的に「2項道路」と称しています。

現に建築物が立ち並んでいる幅員4m未満の道路の場合、建替え時には4mを確保するようセットバック(後退)させる必要があります。建築確認申請の際、このセットバック線を申請書に示しますが、もし既存の塀等があった場合には原則として取り壊す必要があります。

関連して、建築基準法第42条1項5号のいわゆる「位置指定道路」があります。この道路は土地を建築物の敷地として利用するため道路法、都市計画法等の規定によらないで築造する、政令で定める基準に適合する道で、これを築造しようとする者が特定行政庁(建築主事を置く地方公共団体)からその位置の指定を受けたものです(建築基準法施行令第144条の4)。

画地

土地区画整理事業の施行上用いられる設計用語ですが、一般的に事業によって変更される宅地(土地区画整理法第2条6項に規定する宅地をいう)の区画の単位をいいます。一筆の宅地において所有権・地上権・永小作権・賃借権、その他土地を使用し又は収益することができる権利(仮換地指定による使用収益権を含む)の部分をいいます。

街区

画地が集合し、そのまわりを街路で囲んだ1区画のことをいいます。

境界標

土地の境界を示すために設置する「しるし」のことで、一般的には木材、石材、金属、コンクリート、プラスチック等の素材による杭や標識が用いられます。

境界確定

土地の境界確定協議は、実務上は公図上に明示された公的境界の位置を基に隣接所有者と協議確認するのが通例ですが、協議で成立した境界は、理論上は、土地の所有権の範囲(私的境界)を確認したこととなり、公的境界を確認したことにはなりません。

14条地図

旧17条地図のことで、2005年3月不動産登記法の改正で、17条に規定されていた地図が、14条第1項に移ったため、このように呼ばれるようになりました。なお14条1項地図とも呼ばれています。

旧17条地図・・・旧不動産登記法第17条で定められた登記所に備え付けるものとした地図をいい、国土調査法に基づき作成され、土地の区画および地番を明らかにした精度の良い地図のことです。なお2005年3月不動産登記法が改正され、この規定は第14条に移ったため、14条地図または14条1項地図といわれてきています。

街区基準点

国土交通省が平成16年度から3カ年計画で始めた都市再生街区基本調査に基づき、街区間の道路の隅付近に設置される基準点の総称で、街区の座標や街区内の土地の測量の基準となるものをいいます。人口集中地区(DID地区)では約200mに1点程度設置されています。測量の等級により、街区三角点や街区三角点や街区多角点などと呼ばれています。

測量機材・技術について

トータル・ステーション

測量機器の一つで、現在、あらゆる測量の現場で最もよく使用されています。レーザー光の照射・反射時間により距離を測る光波測距儀と、角度を測るセオドライトとを組み合わせたものであり、従来は別々に測量されていた距離と角度を同時に観測できるようになりました。観測により得られた角度と距離から新点の水平的な位置(座標)を容易に求めることができます。

平板測量

狭い範囲の地形図作成に用いる測量で、水平に設置した平板の上にアリダードで任意の点を2方向以上で合わせて点の位置を決め、それを繰り返して地形図を作成する測量のことです。トータル・ステーションやGNSS、パソコンの普及による情報化によって、現在ではほとんど見られなくなりました。

電子平板測量

従来の平板測量を発展させたもので、トータル・ステーションやGNSSの観測データをもとに、コンピュータソフトの図形編集機能を利用して地形図を作製する測量をいいます。

GIS

Geographical Information System:地理情報システム。

地図の持っている位置情報と、そこに存在している自然、経済、社会のデータ(属性情報)を重ねあわせ、コンピュータを使って統計処理、管理、解析をするシステムのことです。 身近な例ではインターネットの地図検索で店舗情報を検索すると表示される地図と店舗の位置やその店舗の情報もこの技術をもとに作られています。

GML

Geography Markup Language:地理マークつき言語。

GIS(地理情報システム)などで利用する空間データなどを記述するための言語で、国際標準化機構でISO19136として標準化されました。これによりさまざまな空間データを重ね合わせて表示したり加工したりすることができるようになります。日本発の標準であったG-XML(JISX7199)が発展し統合化されています。

GNSS

Global Navigation Satellite System:汎地球測位航法衛星システム

アメリカが運営しているGPS、欧州が進めているGALILEO、ロシアが再構築しているGLONASS、日本が打ち上げた準天頂衛星等、衛星による測位システムの総称をいいます。

GPS

Global Positioning System:全地球測位システム

アメリカ合衆国が、航空機、船舶等の航法支援用として開発したシステムです。上空約2万kmに打ち上げられている24個の位置測定用の人工衛星から発信された電波が受信機に到達する時間によって位置を求めます。測定方法によって次の方法に分けられます。

GNSS

Global Navigation Satellite System:汎地球測位航法衛星システム

アメリカが運営しているGPS、欧州が進めているGALILEO、ロシアが再構築しているGLONASS、日本が打ち上げた準天頂衛星等、衛星による測位システムの総称をいいます。代表的な測位方法として次の3点があります。

  • (1)単独測位

    1台の受信機で測定する方法で、10m程度の誤差で位置が決定できます。自動車や飛行機のナビゲーションなどに利用されています。

  • (2)相対測位

    • ・干渉測位法

      2台以上の受信機で2点間の相対的な位置関係を測定する方法です。リアルタイムに測定することはできませんが、100万分の1(2点間が10kmで1cm程度の誤差)の精度の測定が可能です。

    • ・RTK-GNSS測位法

      位置のわかっている基準局と、求めようとする観測点で同時に観測を行い、基準局で観測したデータを無線等で観測点に送信し、リアルタイムに位置を求める方式です。RTK(Real Time Kinematic:リアルタイム測定)-GNSSは両点で位相の観測を行い、数cm以内の誤差で測定が可能です。

  • (3)リアルタイム測位システム

    国土地理院が設置した全国約1,000箇所の電子基準点と携帯電話等を用いて基準点等を精度良く測定するシステムです。VRS(Virtual Reference Station:仮想基準点)方式、ネットワーク型RTK-GNSSなどと呼ばれています。

当組合が認証取得しているISO規格について

ISMS (ISO27000シリーズ)

Information Security Management System:情報セキュリティマネジメントシステム

組織(企業、部、課など)における情報セキュリティを管理するための仕組みのことをいいます。情報セキュリティ管理システムともいい、組織の情報資産について、機密性、完全性、可用性をバランスよく維持し継続的に改善することを基本コンセプトとしています。

BCMS (ISO22300シリーズ)

Business Continuity Management System:社会セキュリティ 事業継続マネジメントシステム

組織にとっての重要な業務・サービスが停止したときの影響を最小限に抑え、いかに事業を継続するかという視点で、組織の現状を理解し、事業継続計画を策定し、演習により計画の実効性評価を行い、マネジメントシステムを運用するものです。

BCP

Business Continuity Plan:事業継続計画

事業者が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことをいいます。